top of page

Included stories
​収録作品

_69da9891-903b-4cb1-aaee-c058f798e4a6.jpg

月と花火

少女の頃から佐藤マリアの持つ人間らしい心は、スカウトする博士にとって第一候補だった。ネオヒューマノイドの仙道ケインに会わせた博士はふたりが育んだ人間らしい心をケインに深層学習し続けさせた。やがて太陽系外にある惑星への調査任務に就くケインは六千年の旅に出ることになるが、博士の誤算は再びケイトとマリアが再会してしまった事だ。愛する心に気付き始めたケイトに心を託したマリアは涙して運命を受け入れる。

_c4a4eaae-441a-4896-87c1-992d084a29fb-small.jpg

高性能分別装置

地球規模での感染症が流行った数年前から、外出を避けて自宅内で巣ごもり生活がブームになった。今はデリバリー産業が好調で、仕事も在宅環境で出来るのが当たり前だ。食事も日用品も、仕事までもが自宅やテレワークオフィスに運ばれる。運ばれるモノ達はプラスチック製の容器が付いていることが多い。必然的に関係するゴミは増え、我が社のような廃棄物の中間処理業者は数多く生まれた。業界では、オートメーションの機械産業も伴って開発機運は高まり、機能的なリサイクル分別マシンは開発を急がれている。そして…。

_67a88a41-43fc-48d1-b009-ad515c157aee-small.jpg

海亀の守り人たち

アカウミガメと言うらしく、日本の浜辺にやってくる代表的な種類。それでもそういう場所は、沖縄や鹿児島のような南の地方だけだ。南の海岸に上がってくる。それが日本で見られる海亀の習性だ。鹿児島海洋大学には海亀を研究している研究室があるそうで、そこに永井教授という権威がいるという事らしい。研究テーマは環境問題を取り上げているようだが、その実は海亀の事を研究しているようだ。(さてと、どうやってアクセスしようか……)警察でもない東京の探偵事務所に務める私は、糸口を探していた。

モスグリーンの星.jpg

モスグリーンの星

ケインは長い眠りから目覚めた。彼が乗る探査船は、地球を離れてすでに千年以上の旅を続けている。通信は途絶え、補給船も姿を消した。彼の前に広がるのは、緑と茶の入り混じる未知の惑星――モスグリーン。 観測を重ねるうちに、そこがかつて文明を持っていた星であることが明らかになる。森林の衰退、放射性物質の痕跡、人工構造物の残骸。滅びた文明の影を前に、ケインは地球の記憶と愛した人の面影を思い出す。 彼の旅は、失われた文明と人間の感情の残響をたどるものとなった。静かな宇宙の果てで、モスグリーンの星はなお微かに息づいている。

表紙_rev1r0(サイト用の表表紙のみ).jpg
​気配は彼方に

喜田村星澄_短編小説集

形態:読み切り短編小説集

   

規格:文庫版 114ページ カバー付

値段:900円

​発行:喜田村星澄

​​

どこかで、名もない気配がかすかにその存在を揺らしている。工場の奥に残された声、海亀を守る者たちの影、老いた彼女の記憶の残り香、滅びた文明に刻まれた愛の痕跡。

それぞれの物語は異なる場所から始まり、静かで遠い時間の流れの中で彼方へと伸びていく痕跡を描き出す。

触れられないものが残すわずかな気配。その行き先を追うように、物語はゆるやかに連なっていく。見えない存在が残した影や声は、やがてひとつの層となって重なる。確かな形を持たないまま漂い続ける気配として、静かな余韻を残して――。

遠くにあるはずのものが、物語の中でかすかな輪郭を帯びていく短編集。

bottom of page