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小説「昼ヶ丘駅」
最初に気付いていたのはまだ幼稚園児の健太だ。確かに何か違う。第六感でしか感じられなかったのだが、その感性は正しかったことになる。マンションは八階建てだが、足の悪い大島さんは一階に住んでいる。だけどあの夜、大島さんが見えたんだ。それもエレベーターに乗っていた大島さんをだ。その時に大島さんが異様な焦りを見せた理由、それはこのマーキングの無い押しボタンスペース。俺は数字の無いその場所をつい押し込んでしまった。エレベーターは動き出す。「パパ! ほらほら、見て見て、うしろ!」健太が言ったその台詞の断片が脳内でフラッシュバックしていた。
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